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25.天の川 続。ゾクっ? [日月記録 ~これまでの話。]

ローソンの脇には、一台の白い車。
間違いようもない。そこにサクはいた。

車の中から、遠目に私をすばやく見つけ、笑顔で手を振る。
そして、まるで昔からつるんでいる親友のように、緊張感の欠片もない砕けたしぐさで
にこやかに窓から顔を出す。
「ひなちゃん、ど~も~。」
な、なんだこのユルさ。私が纏ってるこの切迫した空気感を、どうしてくれよう。
「サク・・・なにやってんの!」
劇的なシチュエーションだというのに、私も私だ。
開口一番、まるで腕白な弟に叱ってるみたいな口調になった。ロマンティックのかけらもない。

「ひなちゃんに、会いに来た。約束を果たしに。」
初めて見るサクの姿は、いつか見た夢の男性とあまりにも似ていた。
泣きながら、「また今度会おうね」とお別れした恋人の夢だ。
・・とはいっても、尋常な人間の格好ではない。

まさかとは思うが、(数少ないはずの)読み手なかに、もしも映画のようにさわやかな王子様の登場を
期していた方がいたら、ここで心から謝罪しておきたい。
暗がりでよく見えなかったが、眼が慣れるに従って浮き上がってくるその姿は、
まるでモンゴル辺りにでも出没しそうな危険な原住民・・・というより山男の風貌だった。
腰まである長髪を後ろに束ね、ヤギのようにのばした髭。
断食のせいで少しこけた頬に端正な目鼻立ち。暗闇で鋭く光る獣のような瞳。
そして、身に着けているのはど派手な民族衣装とポンチョ。
どこで買ったのか聞きたくなるほど異彩を放ったアクセサリー、というより装飾品の数々・・。
耳にはもちろん自力でこじ開けたような、いくつものピアス。

一言で言えば、よく今まで通報されなかったなあと思うほどの不振人物っぷりだった。
これは、明らかに目立ちすぎるじゃないか。

ああ、織姫と彦星の感動の再会の図・・、
というより、これでは狂気の誘拐犯と、いかにも騙されて連れて行かれそうな間抜けな弱者との、
哀れな遭遇、とでも呼びたくなる絵づらである。

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