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魂の物語。 [さいしょに。]

はるか遠い昔、
人生とは苦であると悟った
高尚な魂が在ったという

物心ついたばかりの幼い頃、
その言葉を何処かで聞いた私は、
以来その呪文が頭から離れなくなった

そしてその言葉通り、
私は自分の十代と二十代を、
精神的苦悶の色に染めてしまった

助けてくださいと
何度叫んだことだろう
宛先の無い手紙に殴り書きして破いた数々の祈り

それでも信じた
人生には何か大きな意味があると

苦しみの先には
喜びが
幸せがあると

ひとり
手探りでもがいた

そうして
その魂が悟ったというその年齢を
同じように迎える頃
私も気づけばすべてのものを捨てて
誰にも告げずに家を飛び出していた

何度倒れても諦めぬ想いが
届いたからかはわからぬが
ようやく天は
その信念に応えた

そして私に
新しい別の回答を与えてくれた

彼の愛というカタチで

それを人が
魂の片割れと呼ぶことを知ったのは
その少し後のこと

彼は私に
無償の愛を
身を持って教えてくれた

私もまた
絶え間なく心に湧く
すべてを赦せる愛を覚えた

そのとき
モノクロの心の世界が
初めて彩りを持った

人は生きてる限り
完全な神のようにはなれない
おこがましくも
すべてを持つことは出来ない

片方の性を持ち、
DNAに刻まれた個別の記憶が
性質が
それを教えてくれる

だからこそ人はひかれあう

天はその引力の中に
1+1=∞になる鍵を隠しておいたのだろう

人はいつかその決定的な出逢いをする

足りぬ自分を
愛によって豊かにする
かけがえのない存在と出逢う

正反対の鏡のようなある生身の人間によって
一人では決して
受け入れることの出来なかった価値観を
生き方を
忌み嫌う対象を
相手を想う心故に
受け入れるようになる

ふたつはパズルが合うように
N極とS極が繋がって光がつくように

天が与えた魔法は
頑な心を溶かす

これを奇跡という以外
なんと説明すれば足りるのだろう

私は彼と出逢い
思い知った

光と闇がもとは同じだったことを

善も悪も
同じ愛を求めていることを

神の愛は
一部の選ばれた『聖人』達だけに与えられているのではないと
愛する以外に
人に使命などないと

これまでの二人の人生は相反する二つの道

本当のことを知りたくて
世の中の敷いた線路を辿り
社会の求める『理想の姿』を彷徨った私
泣きながら
求めながら

本当のことを知りたくて
世の中の敷いた線路を外れ
社会が忌み嫌う『アウトロー』の道を彷徨った彼
泣きながら
求めながら

上を目指し
下を目指し

けれど
求めたのは同じ愛だった

そして私たちは
今も旅の途中

終わらない旅の横道を
訪れる未知(みち)を

ゆっくりゆっくり歩いている

手を繋いだまま


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