So-net無料ブログ作成
検索選択

地獄を見た男。その1 [「あの世」での出逢い ~サクの体験]

かねてから、しっかり取り上げて日記に残しておきたいと思っていた出来事がある。

なんとなく触れることはあっても、
深い内容については、いろんな理由で、特に通じ合える人にしか語れなかった話だ。

今、ここに残すのは、私が胸に留めておく時期はすでに過ぎたような気がしたこと、
それより誰かの益になることが何がしかあるかもしれない、と思ったこと、
そして一方通行ではありながら、今、これを受け取ってくださっている人が、そんな方のひとりかもしれないと思うからだ。

誰が信じようと、誰も信じなくても、構わない。
けれど、この一件がなければ、私とサクは今こうして出会うことはなかった。
だからこそ、残しておこうと思う。

3年前の夏、サクは「一度」この世を旅立った。
― 息を引きとったということだ。

それは、私と出逢う少し前のこと。まだお互いを知らぬ頃の話だ。
知る人ぞ知る、ある山奥の村で行われる野外イベント、
年に一度の「満月祭」での出来事だった。

当時、いい意味でも、悪い意味でも、地元では少し目立っていたサク。
危ない連中から相当目をつけられている、と仲間たちから常日頃から忠告されていた。
あまりにも自由すぎるサクの言動が、彼らの利益にとって、かねてから不都合だったらしい。

云うまでもなくそれを気にもとめず、自分のやり方を変えなかったサクは、
夜通し行われる賑やかなその野外会場の裏側、人目につかない山奥で、計画的に「始末」されることになったのだ。
それは、普通の人なら誰も真似できないし、想像すらできないような、とても巧妙なやり口で。
・・・恐らく、どこかで同じようなことが起っていたとしても、誰もそうとは思えないような突拍子もない方法だ。
サクを厄介払いしようとした彼は、そういう手段の使える、世の中でいうところの「闇社会」を生きる人間だった。

いろいろな理由で、その方法の詳細をこれ以上綴ることはできない。
けれど、事実は時として小説より奇なり、とよく言うように、テレビや新聞では知ることのできないような
どす黒い現実が、世の中には確かに溢れているのだ。

サクは、そこで、まんまと「人のよさそうな」彼らの策略にはまり、その日の夜、はっきりと息絶えた。

サクは云う。
「自分が最期に見た景色だけ、鮮明に覚えてるんだ。
すごく綺麗な花が一輪、目の前に咲いてた。
それを見ながら、ゆっくり意識が消えていった。」

ここから先はサクの意識下でおこった出来事だから、私にもうまく描写しきれてないかもしれないし、狂言だと笑う人はそれで構わないと思う。

サクによると、彼は、自分のしてきた数々の「悪事」のために、そのあと三途の川を渡り、「地獄」を見たのだという。

「地獄って云ってもね、幾層にも段階があるんだぜ。
地獄の一丁目とか二丁目とか、云うだろ?あんな感じ。
悪人にもいろんなランクがあるように、それに合わせて、段階が違う。
今の時代ね、どこの地獄も満員なんだぜ。駄目な奴ばっかだからだろうな。
門番みたいなおっかない面した奴らもほんとにいる。
極悪人は、地獄の中でも深い場所に落とされて、時が来て、罪が浄化されるまで働かされるんだ。」

こういう話をするときのサクは、まるで何かが乗り移ったかのように別人になったものだ。

「オレは地獄のどこに行ったかって? ・・・あちこち回された。
あの世でも、意識の持ち方は変わらないんだぜ。
だから、どこに行ってもオレはこんな感じ。
怖がりもしねえし、面倒くせえって云ってやっぱり働きもしねえ。
拷問受けてもふざけて面白がってっから、反省するまでどんどん深い地獄に送られるんだ。
時間なんて感覚でしかないけど、何年も何十年もいたみたいだった。
気がつくと、地獄の底まで行かされてた。
それでも、オレ、やっぱりこんな性格だから、それで真面目になるわけもねえだろ?
余計面白くなって、ヒーヒーずっと笑ってた。
そしたら、とうとうおっかない顔したそこの奴らが諦めた。
『お前は地獄じゃ手に負えねえ』って。

それで、もう一回生きて来いって、この世に返されることになったんだ。」


(そのうち?続きます)

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。