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パンドラの涙 [ふたりのヒトトナリ。]

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私が泣くと あなたは言った

「オレはね、

ひなと生きることと引き換えに
あの世に置いてきたのものがある。

『悲しい』っていう感情。

辛いとか、苦しいとか、そういうものが、オレにはない。

だから ごめん。
オレが涙を流さなくなったかわりに
ひながそのぶん泣くのかな。

その代償を 許してほしい。 」



けれど、私は知っている。

私と一緒に生きながら、
あなたはすでに3度泣いた。


ひとつは 私が家族を想って泣いたとき。
あなたは、
「家に帰る?」
と聞いた。

弾かれたように驚く私に、あなたは顔を背けたまま、言った。

「いつか、ひなに、準備ができるときまで。
出逢った時期が、早すぎたんだね。」
と。

サイドガラスに反射して、頬を伝う一筋の涙が光ってた。


ふたつめは 私が最も辛い過去を話したしたとき。

想いを寄せた人に 裏切られた記憶を
あなたは 洗い流すかの如く
嵐の雨ように 激しく泣いた。

「辛かったね。もう苦しい夢は見ないから。」
声を枯らして、何度も、何度もそうつぶやいた。


みっつめは 私が倒れてうなされていたとき。

あなたの名を 呪文みたいに何度も呼ぶ私を
まるごと大きな両腕で包み込んで 
しばらく黙ったまま あなたは 泣いてた。



悲しみを忘れたわけじゃない
ほんとは あなたは 誰よりも それを知っている

あらゆる感情を 理解している

それがどんな影響を 周りに与えうるかということさえ

だからこそ あなたは 自分のために
泣くことも 怒ることも 憂うこともしないだけ

目の前の相手を 思いやるあまり 
あなたは 記憶に蓋をして 自ら 忘れたふりをする

深い意識の底まで 自分で自分に 催眠をかける

自分のことで 誰かが 心悩まぬよう
心配したり 気をもんだりしないよう

それと悟られぬように
気づかれぬように 平気なふりをする

あなたさえ 知らない あなたの感情



私だけが 知ってる あなたの ひみつ


おばかさんだね 


愛しいひと







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